医療福祉の労務情報
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文書作成日:2018/06/30


 今回は、時間外割増賃金の支給が不要な管理監督者の範囲についての相談です。




 当院には、事務長や看護師長といった役職者がおり、この役職者には時間外割増賃金を支払っていません。どのような要件を満たしていれば時間外割増賃金の支払いの対象から外れる管理監督者に該当するのでしょうか。




 すべての役職者が該当するのではなく、職務内容や責任、権限などの実態によって判断されます。そのため、例えば各医院において管理職と定めていたとしても、法律上の管理監督者には該当せず、時間外割増賃金を支払わなければならない場合があります。




 労働基準法第41条には監督もしくは管理の地位にある者について、労働時間や休憩、休日などの規定を適用しないことが定められています。これにより、時間外という概念がなく、結果として管理監督者に対して時間外割増賃金の支払いは必要ないということになります。しかし管理監督者に該当するかどうかは、役職名や医院内で管理職と定めているといったことではなく、職務内容や責任、権限、勤務態様、待遇を踏まえた実態により判断されます。

 厚生労働省の通達(昭和22年9月13日基発17号、昭和63年3月14日基発150号)で管理監督者とは「一般的には局長、部長、工場長等労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場に在る者の意であるが、名称にとらわれず出社退社等について厳格な制限を受けない者について実体的に判別すべきもの」とされています。そのうえで、管理監督者性は次の基準によって判断されます。

  • @労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容、また重要な責任と権限を有していること(例:採用や解雇、勤務表の作成等を通じた労働管理などの責任や権限の有無)

  • A現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること(例:遅刻・早退等により不利益な取扱いがなされないなど、労働時間に対する裁量の有無)

  • B賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること(例:実際の労働時間数を勘案した場合の割増賃金と比較し、十分な水準の役職手当等が支払われているか)

 実際、医療法人徳州会事件(昭和62年3月31日大阪地裁判決)では、看護師の募集業務について人事関係の職員を指揮命令する権限を与えられ、採否の決定においても経営者と一体的な立場にあり、また、労働時間は自由裁量に任されていた等といったことから人事課長の管理監督者性が認められ、時間外割増賃金の支払いが不要とされたケースがあります。

 管理監督者性を否定されることは、医院にとって大きな痛手となる可能性があります。まずは法律や通達の内容を把握し、適正な運用ができるよう対策を進めることが、求められます。


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